nombirato!: 続・サウンド雑感 大先輩のひと言

2017年06月30日

続・サウンド雑感 大先輩のひと言


前回の記事書いた後もサウンドについてあれこれ考えているところ。

昨晩は学生のオケの定期だった。チャイコの4番は、学生達もこの先演奏機会が多いと思うし、チャイコフスキーの入門曲みたいなイメージを持って聴きに行った。

結果は意外と苦戦していたけど。演奏は大きな破綻は無く、熱意の伝わる良い演奏だと思ったものの、4楽章にかかるあたりから大きな違和感を感じるようになった。結構大きな何かが足りない違和感。

「チャイコの響き・音」を感じなかったのが一番の理由か。金管の輝かしいフォルテの鳴りも、もっともっと欲しいけど、一音一音の長さとか粘りとか、チャイコの色みたいなものが欲しかった。


教師が教えるべき反省点も多々あったかも知れないけど、プロのオーケストラとの決定的な違いは、奏者一人一人にチャイコフスキーのサウンドのイメージが無かったことなのではないかと思った。輝かしいフォルテのファンファーレも、カラッと明るいものではなくて、苦悩とか苦しみを背景に持つような、もっと複雑な音。課題も多かった演奏会だったけど、録音を聴いて気が付いてくれればそれでいいと思う。


話変わって、先日ある生徒と楽器の吹き比べをした時、楽器を吹いての感想を生徒に訊いたら、「この楽器が一番吹き易いです」と。

ごく当たり前の、優等生的答えだけど、果たしてそれで良いのか。先生に相談することなく吹き易かったからと言う理由で楽器を買い換える生徒も少なくない。

自分が今一番長く使っている楽器は、オーバーホール2回以上経た30年もの。これは人生で2本目だけど、選ぶ時に吹き易さという項目の優先順位は結構下の方だった。優先順位の最高位はサウンドが心地良いか、好きか、ということだった。

プロになりたてで、初めて自分でローン組んで買ったものなので、それ相当の愛着もあるけど、つまるところはベルの持つサウンドが好きで今でも使い続けている。

当時の自分は、まだまだ仕事のことを知らなかったので「オケ、ソロ、アンサンブル、スタジオワーク、クラシックもジャズも、全てこなせる楽器が欲しい」と言う意識が強かった。今ならそんな便利な楽器無いよと言えるけど(笑)

楽器が音を作ってくれる部分は決して小さくはないけど、自分がイメージした音について来てくれそうな懐の深い楽器というのはあると思う。

自分が、より幅広いイメージを持ち、その音色が鳴らせるよう練習し、技術を磨く、身につける、というのが大事だと思う。鳴らすのは簡単じゃないけど深い音がする楽器に魅力を感じるな。(あくまで個人的好みです)。安易な方に流れないように教師は歯止め役にならないといけないのかもな。


2000年都響に移籍したばかりの頃だったか、まだまだ都響の音に慣れてなくて、どんな音で吹いたら良いのか不安だらけの頃。ストラヴィンスキーの春の祭典の1番を任された時に、2番を吹かれていた大先輩の三村さんに「古賀さんはちゃんとストラヴィンスキーの音がしますね!」と言ってもらい、どれだけ安心し、自信を持ったものか、今思うと本当に感謝しかない。今の自分も、あの時の三村さんのような存在になりたいと思っている。


posted by 古賀慎治 at 12:48| Comment(0) | TrackBack(0) | weblog | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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