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2015年12月13日

音の伸びについて考え中



昨日と今日、藝大奏楽堂で特別編成によるオーケストラのコンサートに出演してます。主催はレクサス(トヨタ)で、レクサスのオーナーを抽選でご招待ということで非公開。奏楽堂は1100人しか収容できない事もあり、2日間で4回の公演。

そのコンサートの冒頭、廣江先生によるパイプオルガンの曲で始まり、ストラヴィンスキーの祝賀前奏曲、ヴィバルディの四季、運命の力序曲、ウィリアムテル序曲、カヴァレリアルスティカーナの間奏曲、そしてメインはレスピーギのローマの松と言ったイタリアンなプログラム。

ローマの松1楽章最後のトランペットのB♭のユニゾン強奏を隣で聞いた時、あることが頭の中で閃いた。「パァーん」と鳴る栃本さん達トランペットセクションの音は、単なるロングトーンではあるけど、まるで会場の後ろに向かって飛んで行くようで、とても心地よい。

1楽章のトロンボーンのフォルテのユニゾンも、一つ一つの音は、丁寧に伸びて行くようにイメージして吹いている。

僕たちが生徒に対してレッスンする時に、例えばDAVIDの冒頭のE♭を「パァーんと!遠くへ!!」と言いながら、ベルの先からホールの後ろに向かって大きなゼスチャーで手のひらを動かして見せるあれ。ベルから出た音がまるで生き物のようにホールの後ろに向かって伸びて行くイメージ。

電子オルガンの持続音を聞いてもなかなか音の伸びや動きは感じられないし、機械的、電気的な持続音から音の伸びは感じられない。今は僕が知らないところでテクノロジーが発達していて、打ち込みで音の伸びを表現できるのだろうか。


たくさんの生徒やプロを見渡して、実はこの伸びる感覚を持ったプレーヤーって意外と多くないなと、日頃から感じる所はあった。一流どころのプレーヤーはトロンボーンに限らず皆間違いなく伸びる感覚を持っている。


その音の伸びる感覚、動く感覚と言うものの正体は何だろうなと、言うのが今一番頭から離れないこと。

昔新日フィルに居た頃、世界的なヴァイオリニストで指揮者のメニューインが来た時に、弦も管も、楽器から出る楽音の基本は減衰音であると仰った事があって、今でもそう感じている部分はある。減衰音が伸びる音の正体かと言うと、完全にそう断言できるわけではない。将来的に機械で計測して研究が進めば解明されることなんだろうか?


実は今回最も興味をひいているのが奏楽堂のパイプオルガン。舞台上で聴いていて、パイプオルガンの持続音って、ズーンって響きながら伸びる感覚があるんだよね。音楽的な動きを持っている。一体この感覚は何なんだろうと。


今日もこれから本番2回、いろいろ楽しみです。レクサスオーナーの皆さんに楽しんで貰えるよう頑張ります。


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2015年12月04日

東京アカデミックウィンドオーケストラ


師走の月1本目の投稿。気がつくとブログのカウンターが「50200」になっていて、おそらく12月1日あたりに大台を超えたものと思われます。


吹奏楽オリジナル名曲選VOL10.jpg先日ネットのオークションをつらつらと見ていて、「吹奏楽オリジナル名曲選VOL.10」というものが目に止まった。収録曲目を見てどうやら自分が参加したものらしいと感じたので即落札。

「東京アカデミックウィンドオーケストラ」はのちにジャパンスーパーバンドと改称して活動していたプロの吹奏楽団。1980年代後半の一時期、大学生だった頃に声をかけてもらって音楽鑑賞教室とか、レコーディングにたくさん参加させてもらった。駆け出しの僕にとって本当に貴重なプロとしての演奏体験だった。若くて上手くてやる気に満ちたメンバーの吹奏楽団という印象が残る。そんな中に参加させて貰えて今思えば本当に幸運だった。ジャパンスーパーバンドになってからの参加はなかったと思う。

当時はアナログからデジタル録音への過渡期で、おそらくデジタルで収録されていたんじゃないかと思うんだけど、最初の発売メディアはLPレコードだったと思う。今のデジタルでの収録は、技術が飛躍的に進んだこともあって、編集のための素材を長いテイクも短いテイクも、とにかくたくさん残すことが出来る。30年前はハードディスクでは無くDATか他の磁気テープに記録していたはずで、基本的に現代のようにたくさんのテイクを重ねることはしていなかったと思う。その分ディレクターさんのモニター室からの指示、注文に必死で応えるように演奏していたと思う。今よりはたぶん集中の度合いが高かった。今はテイクを時間が許す限り残せるので、納得いくまで繰り返すことが出来る。どちらが良いのかというのは分からないけど、古い方が集中度の高い熱い演奏になりやすかったという印象がある。

僕がまだ二十代当時、録音には2〜3回程度参加させてもらったと記憶していたんだけど、完成品を聴く機会はほとんど無くて、そのままになっていた。CD化されているなら聴いてみたいなとずっと思っていたのだが、バンドの名前を冠にしたアルバムでは無かったために、今回購入したアルバムのように一見どこが演奏しているのかワカラナイCDタイトルになったり、収録曲目がばら売りの再編集されたりで、なかなか見つけられなかった。

自分も演奏した曲目をいちいち記録していないので、30年以上前の記憶のみが頼り。今回落札したCDアルバムは、収録の長さからしてLPレコード2枚からの編集ものと思われるんだけど、わりとはっきり覚えている曲名が前半3分の2以上あって、最後の方もかすかに記憶にあったりして。実際は自分が吹いているのかどうなのか、ブックレットには収録時のメンバーの記載は無いので分からないけど、後半の一部を除いてほぼ自分の演奏で間違いないと思う。

しかし約30年も前の記憶ってどうなのかと思ったんだけど、音楽というのは何となくだけど覚えているもので驚いた。今となっては誰と一緒にセクションを組んで吹いたのかも思い出せないし、収録した会場もどこだったのやらさっぱり。情けないな。トランペットやホルンのトップの方のサウンドは良く覚えていた。

録音当時は、プロとして見習いの自分がどんな感じに吹いていたのか、興味津々で聴いてみたんだけど、これが本当に自分なのか?と言うのが第一印象。でも良く聴いていくと所々に自分の癖みたいなものも感じるし、今生徒に対してこうは吹くなと言っていることはやってない(^^;)。しかし音も思い切りの良さもなんだか若いな(笑)。たぶん前もって楽譜をよく練習していたと思うので、その分記憶に残っていたのだろう。しかし何とも不思議な若い頃の自分との再会だった。


posted by 古賀慎治 at 01:38| Comment(2) | TrackBack(0) | weblog | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月15日

青少年音楽セミナーin五島


IMG_1895.JPG先週末は藝大と長崎県との交流事業で五島に行って来た。今年度は3回(僕は2回)にわたって、藝大から講師を派遣して五島の小中高生、そして社会人の皆さんに対して講習会を重ね、最後の仕上げとして発表会が先週土曜日にあった。

プロジェクト1回目の去年は、はじめての事ばかりでいろいろ手探りで大変だったけど今年はより凝縮された内容の濃いものに仕上がったのではないかな。トロンボーン受講生の皆さんも、今年は良く譜面が読めていて、上々の仕上がり。

セミナーの講師は僕たち常勤と非常勤と、あとは卒業生や大学院や学部の学生たち。学生たちにとっては社会経験としてとても貴重な機会。

最後の演奏会を目指して、五島市の皆さんと一緒に頑張って、指導者としての経験をさせていただくわけだけど、五島市の受講生の皆さんの上達ぶりや成長を見させてもらうのも嬉しいし、大学の学生たちの成長ぶりを見るのも、また嬉しくもあり驚きだった。

演奏会の終演後に全員参加の打ち上げパーティーが用意されていて、あれこれみんなで語らう時間もまた楽しいのだけど、実はその最後に、担当者さんのはからいで講師全員がスピーチさせていただく機会をいただいた。

実はそう言う場でのスピーチは僕にとって結構難しいことで、事前の準備も無しに何か有益な内容を簡潔にまとめて語るのがホント苦手。でも貴重な機会なので必死に考えながら何とか終えた。日頃考えていることや演奏会を通じて感じた事をまとめた感じだったと思う。たぶん(笑)

今回特に感心したというか感動を覚えたのは、講師を務めてくれた学生たちのスピーチの内容。みんなそれぞれの感性で感じた事を素直に自身の言葉で表現してくれたし、うわべだけや机上の模範的な話ではなく、レッスンやセミナーなどを通じていかに学ぶのかと言うような、学ぶ側でもある現役の学生ならではの内容。社会人としての自覚もシッカリ感じられて嬉しかった。


IMG_1876.JPG翌日は飛行機の時間まで福江島島内を案内していただいた。隠れキリシタンの歴史をたどるように、あちこちに建つ教会を巡り、日本一美しいという高浜ビーチを見せてもらい、最後に鬼岳登山。短時間ではあったけど、今までに知らなかったことが盛りだくさんで、楽しい小旅行になった。驚いたのは歴史的な教会建築がたくさん残っていること。今でもほんの少数の家族で守られていたり、大きな教会はそれなりの規模で維持されていたり、小さな島にキリスト教がしっかり根付いています。ガイドの方の説明がとても興味深かった。出来れば一度仕事抜きでゆっくり訪れてみたいと思った。






posted by 古賀慎治 at 02:46| Comment(2) | TrackBack(0) | weblog | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月30日

Paul Milnerさん特別講座

昨晩は来日中のロンドン交響楽団の首席バストロンボーン奏者 Paul Milnerさんをお招きしてバストロンボーンとオーケストラスタディの特別講座を開きました。

Milnerさんのミニコンサートに続いて3年鈴木のダヴィッド、そのあとトロンボーンとテューバセクションでマーラーの復活やブラームス2番、レスピーギのローマの噴水を見ていただいた。

とてもクリアで質感の高いMilnerさんのサウンドが印象的な演奏、そしてレッスンは作曲家ごとのスタイルを尊重しながらとても音楽的なレッスンだった。オーソドックスなことをオーソドックスに教えられるのは凄いこと。短時間だったけど学生達も僕もいろんな勉強や経験ができた。




posted by 古賀慎治 at 18:18| Comment(0) | TrackBack(0) | weblog | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月25日

そして本選


本選はテナー3名とバス2名で争われた。本選は今回のコンクールのトロンボーン部門を象徴するようなレベルの高さで、1番目の森川君の演奏が圧倒的だったこともあり審査するのが非常に難しくなるなという思いを強く持った。その思いは5人目まで聴いても変わらず、採点は悩みに悩んだ。審査員の採点は公表され、僕たちにとってプレッシャーではあるけど、コンクールを受ける人にとってとても良いことだと思うので、審査する側としては大変だけどこれからも是非続けて欲しいと思うところ。


テナートロンボーンはN.ロータのトロンボーン協奏曲、バストロンボーンはV.ネリベルのバストロンボーン協奏曲がそれぞれの課題。暗譜が義務付けられていて特にネリベルは暗譜が難しい曲。


テナーとバス2種類の楽器で、違った演目での採点の難しさも確かに感じたところはあったけど、今回は参加者の皆さんが高いレベルで完成させて来られたこともあって、終わってみた今、よくよく思い返してみると実は審査そのものはそれほど難しくはなかったかもしれないと思うようになって来た。評価を100点満点での数字にするのはとても大変だったけど、実質的には単純に演奏の完成度や音楽性などで5人を順位付けする作業がメインになった。点差を考えるのは本当に難儀して、僕の採点は1点差で5人が並ぶことになった。僕としては順位はこうで点差はほとんどないという評点ということになります。



最後に簡単に各出演者の感想を書きます。


1位の森川君は、圧倒的な存在感と演奏で本当に素晴らしかった。彼のサウンドはバストロ界のこれからの新しい世代を感じさせる音。コンクールではあのような演奏が出来れば優勝にグッと近づけるという見事な演奏でした。


2位の中野君のニーノ・ロータ、完成度という面では森川君に1歩譲るけど、2楽章の本当に美しいサウンドと息を飲むようなフレージング、ピアニッシモの繊細さは他に例えようがなく、僕はその点をプラス評価して1位と評価しました。


3位の笠野さんは、ネリベルを初演されたというダグラス・ヨーさんの愛弟子だそうで、コンクール前に先生の所に行ってしっかりと作品のDNAを勉強されて来たのがわかる、本当に丁寧で細かく歌い込んだ説得力のある演奏でした。僕は恥ずかしながら彼女の演奏を聴くまで、ネリベルはとても難解な曲で、どう解釈したら良いのかわからなかったのですが、彼女の演奏は一回聴けば非常によくわかった、納得!という明快な演奏でした。


4位入選の井さんは藝大の4年生で、本当に良く頑張ったなぁと、先生としてはもうそれだけで十分(笑)。いや、彼女の今のポテンシャルはまだまだ発揮出来ていなかったので、この先大いに期待しましょう。


5位入選の越智君、一音聴けば越智君と分かる柔らかい音で、気持ちのこもった素晴らしい演奏だったけど、全体を通すとやはり力を出し切る感じではなかったか。僕が知っている彼の実力はもっともっと上だと思います。本当に惜しかった。


以上、遅くなってしまった感想文でした。重要な役割をきちんと出来たとは思えないけど、審査員の皆さんや運営の方々のサポートがあってなんとか終えられた感じです。250種類のダヴィッドを聴けたことや、新しいダヴィッドの音楽観を得られたことは僕にとって、この立場にいさせて貰った最大の役得でした。本当に勉強になりました。こういう立場で参加させていただいたことに、とても感謝しています。


(以上は、あくまで僕個人の私感です。文責は僕にありますし、誰も非難するような意図はありません。)
posted by 古賀慎治 at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | weblog | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする