nombirato!: トロンボーン

2017年06月11日

サウンド雑感

今回は最近考えていることから。上級者からプロにかけてのお話かも。

良いサウンドを得るのに、僕としては楽器やマウスピースを替えても根本的なその人の音は変わらないと思っているので、そのプレーヤー自身のセンス、イメージ、音楽性などを総合的に、時間をかけて根気強く向上させないとサウンドは変わらないと、僕はずっと信念として思って来た。また、実際にたくさんのステージを経験し、様々な環境を体験して、日々成長することが出来れば自ずとサウンドは変わってくるはず。

音が細いとか太いとか、堅いとか柔らかいとか、明るいとか暗いとか。いろんな評価軸があるけど、こういう音になるべきと周りから強要することなのだろうか。あまりに言われ続けると誰しも不安になるし、場合によっては一人のプレーヤーの将来を奪いかねない。

良く通る音で、響きが豊かで、ハモれる音で、、、プロとしての水準を超えていれば、そして何より魅力ある音ならばそれで良いのではないかなと強く思う。

昨今、様々な楽器メーカーによるサウンドキャラクターの違いや広がりは、むしろ選択肢がたくさんあって、プレーヤーそれぞれの個性が際立つし、僕はとても歓迎している。だから今までに自分の教え子にこのモデルの楽器を使いなさいと言ったことは一度もない。選定を頼まれて音を聞いて賛成か反対かは言うし、適性に合ってそうなのも、訊かれればもちろんアドバイスはするけど。

それから、最近しばしば聞くようになった、より深刻な話。

楽器やマッピの仕様が周りと合わないから仕事が来ないんじゃないか?と言うフリーのプレーヤーからの不安、悩みを聞くようになった。そんなはずはないと思うんだけど、実際に使っている楽器によって仕事に呼ぶプレーヤーの選別が起こっているのだろうか?それとも、単にみんなが良いという楽器を使って安心したいだけなのか。単に忖度しすぎなのか思い過ごしなら良いのだけど、どうなんでしょうね。ただこの手の似たような話はトロンボーン界隈では昔から多かったような気がする。トロンボーン吹きの気質とか特性なのかもしれないけど。

プレーヤー本人がその人の感性で、「好き」とか「心地よい」と感じる楽器やマッピを使うのが、まずは本筋であって、メーカーやサイズ、その他セッティングをセクションで統一してサウンドを外側から揃えるというのは、正直どうかなと思う。短期的、表面的には合うかもしれないけど長期的には疑問。むしろアンサンブルをたくさんやってアンサンブル力を上げた方が良いのでは。

あと、プロとしての契約があれば、もちろんその契約は責任を持って全うしなきゃいけない。当然。


・・・とまあ結論は出ないわけだけど、サウンドは人の声と一緒でその人固有のもの。楽器やマッピで変わるのは、たぶん味付けの部分ではないかな。どうしたら地声の部分を向上することが出来るのか。本質を見誤らないように、いろいろと試していかないといけないと思う。


posted by 古賀慎治 at 18:13| Comment(0) | TrackBack(0) | トロンボーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月31日

スライドジャパン「フライハイ」


昨晩川口リリア音楽ホールで開かれたスライドジャパン「フライハイ」を聴いてきた。スライドジャパン(SJ)というトロンボーン8重奏のグループのメンバーなどについてはスライドジャパン SLIDE JAPAN OFFICIAL WEBSITEで。公演後の打ち上げにも参加させていただいた。昨年に引き続き素晴らしい響きに満たされた演奏会でした。前回の東京文化小ホールも良かったけど川口リリア音楽ホールの木の温かみのあるところで聴くのもまた良かった。質感の高いハーモニーはもちろん、より室内楽的な楽しみも増えて、とても楽しめました。

SJは海外で活躍するメンバーと国内で活躍するメンバーで構成され、「純国産、世界照準。」のキャッチフレーズが誇らしげにパンフレットに並びます。

去年は何も事情を聞かずに記事を書いていたんだけど、今回は色々話を聞かせていただいて、想像以上に、SJ各メンバーが明確に役割分担(音楽的にも)をこなし、本当に忙しい中で、奇跡的に合ったスケジュールで、CDの制作、リハーサル、コンサートツアーとこなしていて、本当に頭の下がる、メンバー全員の本気のエネルギーを投入した貴いプロジェクトだと思いました。ぜひこれからも長く続けて欲しいなと思います。


去年の公演の当欄記事を読み返すと、今回とほとんど同じ事を考えていたようで、進歩が無い自分に、チト落胆^ ^




posted by 古賀慎治 at 15:20| Comment(2) | TrackBack(0) | トロンボーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月21日

New Generation

東京文化会館小ホールで開かれた「スライドジャパン」デビューコンサート・シリーズ "TAKE OFF"を聴きに行ってきた。残念なことに僕は用事があり後半からしか聴けなかったが、半分にしてはあまりにも鮮烈な印象で、何から感想を書いたら良いのか。翌日は福島での公演があるので内容については触れないけど、日本のトロンボーン界は新しい時代に入ったなと強く感じて帰ってきた。演奏はクオリティが高く本当に素晴らしかった。


つい先日、メンバーの品川君と初めて話し込む機会があって、以下そのときの話題から引用。

僕がまだまだ駆け出し以前で海外のコンクールに目を向けていた頃、日本の演奏スタイル、ドイツのスタイル、フランスのスタイル、旧ソビエト(ロシア)のスタイル、チェコや東欧のスタイル、そしてアメリカやイギリスのスタイルと、それまで割とハッキリ違いが見えていたものが、徐々に今で言うところのグローバル化が起こり、どこも本当に少しずつだけどスマートなスタイルに変化しだした辺りで、僕は自分の演奏スタイルが世界でどの位通用するのか確かめたい、インターナショナルなスタイルってどんなの?と言うのをキーワードに、いま思うと随分思い上がった考えで海外のコンクールを受けに行き、そしてその最適な演奏スタイルと言うものを探して来た。裏を返せばどう吹いて良いのか当時は確信が持てなかったと言う事かもしれないけど、まあそれは置いといて。

それから年月は経ち(笑)、今はオケを辞めて主に次の世代のために仕事をしている身としては、昨晩の演奏は、ついにここまで来たのかと、僕個人的に本当に印象に残るマイルストーン的な演奏会だったのでした。後半だけでも聴けて本当に良かった。

メンバー皆さん自然体であり、一人一人が個性を活かし、サウンドの方向性も自然と同じ方向を向いていて、演奏スタイルも無理することなく合って、、、と、本当に凄い時代になって来たものだ。

何より一番驚愕したのが、トゥッティでハモった時の響きの質感の高さ。単に音程とバランスを合わせただけのハモりと、本質的に次元が違う。音の芯から響き合ったサウンドのようだと言えば良いのか。言い過ぎと言われることを恐れずに書くと、明らかに国際クラスに到達したと思えるサウンドだった。自分の所の学生たちも多く聴きに来ていたので、きっと何か感じ取ってくれたのではないかと期待するところであります。

「スライドジャパン」と言うグループは、これからもっともっと発展していくのではないかと思います。それはメンバーの人選と言うものが、飲み会で盛り上がって「一緒にやろうよ!」的な一過性のものではなく、きちんとした基準や考えのもとに人選されたことがよく分かったから。海外組と国内組が非常に良いバランスで車の両輪として機能しているし、また経験豊富で強力なプレイングマネージャーがいる事で、今後活動を広げていこうという展望がはっきり見える。象徴的だったのが、ロビーに各メーカーの展示ブースが設けられていて、休憩時間に試奏できるようになっていたこと(時間が無くてちゃんと見たわけじゃないけど)。8人のプレーヤーがわりとバラバラなメーカーの楽器を使っているので、それだけ多くのメーカー、販売店の協力を得やすいのかなと思ったり。本当に良い音で演奏すれば、各々好きな楽器を使って良いんだよというメッセージにも取れそうな勢いでありました。

彼らには何も聞いてませんが、録音なども当然考えているでしょうね。今からとても楽しみです。


以上、大部分が個人的推測と感想に基づく記事なので、くれぐれも誤解のないようにどうぞよろしくお願いします(笑)

posted by 古賀慎治 at 01:17| Comment(0) | TrackBack(0) | トロンボーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月13日

ボレロのその後


だいぶ経って印象も薄れてきたんだけど、一応結果報告しておかないと。。。

結果はまあ自分としてはギリギリ許せない78点あたりか。心境としてはやはり以前とは大きく変わってきた。しかし今回もプレッシャーという名の魔物にやられたと言うことか、はたまたゲネプロで比較的上手くいってしまったために自分で自分にプレッシャーをかけてしまったのか。

でもまあプレッシャーと別の回路というか、心境に気がつくことが出来たのは大きな収穫だった。次の機会があればもっと上手くいく気がする。


閑話休題、ピアニストの辻井伸行さんが前半にチャイコフスキーのコンチェルト1番を弾いてその伴奏をさせてもらったんだけど、今までさんざんやってきた曲なのにとても新鮮で素晴らしい演奏だった。今まで聞こえなかった音、フレーズがたくさん聴けた。アンコールにラ・カンパネッラを演奏されたんだけど、とても言葉に出来ないくらいキラキラした音色で、万華鏡のようにカラフルで、久しぶりに凄い演奏を聴かせてもらった。一生忘れられない演奏ってそうそうお目にかかれないと思う。辻井さんの頭の中はいったいどんな色をしているんだろう。心が洗われた。

posted by 古賀慎治 at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | トロンボーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月04日

ボレロのキモチ


オケの1番トロンボーン吹きにとってボレロは特別。オケ吹きになって以来ずっと、平穏な心理状態で素晴らしい演奏をしたいと思いながら、なかなか実現できない難攻不落の城のようなものと感じてきた。実は今度の土曜日に福岡で九響の演奏会に出演させていただくんだけど、どう言うわけか今の心境を綴ってみようと言う気持ちになった。と言うわけで今回の記事は極私的な内容であり、一般的なものではないことをお断りしておきます。

僕がはじめてボレロのソロをオケで吹かせてもらったのは、大学時代の芸祭での同級生オケでした。演奏は良く覚えていないけど、かなり酷かった結果の記憶だけはしっかり残っています。今でも消したい記憶ナンバーワン。その後はアマオケの助っ人だったり寄せ集めの音教オケ、新日フィルに入ってからは副首席という立場だったのでごく稀に、そして首席になってからたぶん1回、都響に移籍してからも、12年間で数回と言う頻度で演奏してきた。珍しかったのは佼成ウインドでの吹奏楽版。今まで幸いにもセカンドを吹く機会も多かったので、名手と言われる方々の横で聴かせていただく機会が多かったかも。

先輩方を見ていていつも思ったのは、本番前でも全然ピリピリしていない、そして平然と吹いているように見えたこと。本心はわかりません。でもいつの日か自分もあのような境地に達したいという気持ちでやってきたんだけど、なかなか現実はそう簡単ではない。やっぱり極限のプレッシャーの中で6分以上待っていきなりハイB♭から吹き始めるということの異常さ。経験を積んでもなお6分間で狂う自分の感覚を修正できない悔しさ。120パーセント上手く行くという感覚があっても、外れるものは外れる(笑)

それが都響を辞める1〜2年くらい前あたりから、ある確信めいたことが理解できて、プレッシャーとは別のところに自分の気持ちを置く感覚になってきた。説明は難しい。プレッシャーはあるものの、平常心に近い感覚で立ち向かう術みたいなもの。そういえば去年の夏のアルプレヒツベルガーの時もそうだった。この感じをあと数年早く見つけられていたらなぁ。プレーヤーとしてもっと出世出来たのであろうか?いや冗談だけど、少なくとも都響を辞める踏ん切りはますますつけにくくなったんだろうな。いや、それともオケのポストを離れたからわかったことなのか。いずれにしてもボレロに向かうのが、ほんの少しだけど、今は楽しみだと思える感覚がある。

と言ってもこれを書いている時点では、まだ練習も始まっていないし、全く上手く行かないかもしれないし、正直怖さは相当あります。ボレロを吹く機会をいただけるというのは、本当にありがたいと思うので、全力で良い演奏にしたいなと思います。

posted by 古賀慎治 at 01:04| Comment(3) | TrackBack(0) | トロンボーン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする